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満開には咲けないけれど

はじめまして。
小劇場所属のFN2187(役者名)です。

読者のなかには、受験も終わり、サークル選びを始めている方も多いのではないでしょうか。
なかには、小劇場や、演劇に興味はあるけれど、『自分なんかに出来っこない』と思っている方もいらっしゃるのではないかな…と思います。
実は、自分もそうでした。なので今回は、そのような方々に宛てて書きたいと思います。

自分は幼い頃から重度のアトピー性皮膚炎でした。小さいころは『ぶつぶつ』といじめられていました。友達もいませんでした。
そんな僕の唯一の楽しみは、映画でした。嫌なことがあると、自宅で映画を観ていました。
そんなある日、幼稚園の課題で『将来の夢』を書くように言われました。僕は映画、特にアクション映画が好きだったので、『アクションスター』と書こうとしました。
でも、自分の容姿に気づき、『…こんなぶつぶつの顔で俳優になんかなれるわけないや』と、書くのをやめ、『映画監督』と書きました。

中学に入学したときには、アトピーはだいぶ治り始め、いじめはなくなりました。ですが、いじめの経験から、人に対しての恐怖感を覚え、最初のうちは仲良しの人はいませんでした。
そんななか、勇気を振り絞り、中2の夏から入部したのが、映画部でした。
自分と同じ映画好きがたくさんいるその部活で、僕は次第に人に対して心を開いていきました。
映画をつくるのは本当に楽しくて、中高、そして大学一年まで、映画部に所属していました。

大学二年生のとき、僕は同志社に編入しました。
『せっかく同志社という新しい環境に身を入れたんだ、これを機に、映画以外の新しいことをやろう』
と思い、たくさんのサークルを見学しました。

同志社小劇場も、そのなかのひとつでした。
演劇は未知の世界で、とても面白そうに感じました。
入ってみたいと素直に感じました。

ただ、小劇場は稽古が毎日あり、時には授業を休んで作業しなくてはいけません。授業の多い編入生で、かつ、二時間半かけて大学に通っている自分には、入ることは無理だと思いました。
しかも、人と話す時でさえ『声小さすぎて何言ってるかわかんねーよ』と言われている僕が演劇なんか絶対無理だと思いました。

しかし、演じるという世界はとても魅力的に見えたのです。それは幼少期に映画を観て『自分も俳優になりたい』と思っていた過去の記憶が、無意識に脳裏に蘇ってきたせいかもしれません。

入部を悩んでいた際、僕はある映画を思い出しました。
スタローンの出世作『ロッキー』です。

スタローン演じるロッキーバルボアは、しがない借金取りをしながら生計を立てる三流ボクサー。
しかし彼は、ひょんなことから世界チャンピオン、アポロクリードの対戦相手に選ばれます。理由は、『世界チャンピオンが全くの無名選手と戦う、というのは話題を集める』から。
あまりの力の差に、勝敗は目に見えています。
どんなに頑張ったってアポロに勝てるわけがないのは目に見えている。
ですが、ロッキーはその勝負を受け入れます。
ロッキーは恋人であるエイドリアンに言います。
『ダメだ、勝てないのはわかってる。でも、最後までやる。相手は世界一だ、最後のゴングが鳴っても、まだ立っていられたら、俺がゴロツキじゃないことを……初めて証明できるんだ』
ロッキーは最終ラウンドまで、どんなにボコボコにされ、倒されても立ち上がります。
結果、アポロに判定負けしてしまいますが、ロッキーにとっては結果なんて、どうでもいい。彼はリングに立ち続けた。彼はエイドリアンと抱き合い、勝利の笑みを浮かべます。

僕は今、小劇場に所属していますが、ハッキリ言って一番演技は下手だと思っています。稽古にも他の方に比べるとあまり参加できていませんし、団員のみんなにはたくさん迷惑をかけています。
公演日が近づくにつれ、不安で不安で仕方がなく、眠れないこともあります。
ですが、自分が四公演の舞台に、逃げずに立ち続けられれば、自分の価値に気づける気がするのです。
幼少期にどうせ無理だと諦めた過去の自分と決別できる気がするのです。

もし、これを拝読している方のなかに、同じような思いで演劇に限らず、何かを始めることに躊躇してる方がいれば、ほんの少しの勇気をもって、一歩、足を踏み入れてみることをおすすめいたします。

勝たなくても、結果が出せなくてもいいです。そこに立ち続けたことが、真の勝利であると思います。

『人生は、どんなパンチよりも、重くお前をぶちのめす。だが大切なのは、どんなに強く打ちのめされても、こらえて前に進み続けることだ。 そうすれば勝てる。自分の価値を信じるなら、パンチを恐れるな』(ロッキー ザファイナルより)

みなさんがよりよい人生を、学生生活を送れることを、心から願っております。

そして是非、本公演を観劇にいらしてください。みなさんにお目にかけるのを楽しみにしております。

フォースとともにあれ。
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