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タカアシガニの地上進出と苦手の克服


こんばんは、2回生の奈良です。


卒業公演である。

本番まであと3週間を切っており、
毎日たのしく稽古はすすむ。


先日、初めての通し練習があった。
いろんな人からいっぱいのダメ出しやアドバイスをいただいた。とてもありがたい。

そこで多くの人から指摘された課題。
「暗い」「つらそう」「目が死んでいる」…
本来、全然そんなキャラの役ではないから、これは大問題である。
先日、友人に「喋ってるときさ、犬のうんこ踏んだみたいな顔をサブリミナル効果的にはさむ癖があるよね」との指摘をいただいたことも記憶に新しい。

あまりにも怠惰な表情筋を顔面にくっつけているものだから、表情が絶望的に乏しいのだ。


わたしは苦手を克服しなければならない。


また、わたしは怖いもの、苦手なものに遭遇すると、延々そのことを考えつづけ、悪いほうに悪いほうに考え、考え、あり得ない可能性まで考え、考え、どんどんどつぼにはまってゆく癖がある。

ずっと稽古してきたはずの台詞を舞台にあがった瞬間忘れたらどうしようとか、小道具を用意したと思って実は忘れてたらどうしようとか。

そんなネガティブな考えををねちねちぐるぐるこねくり回しているのが、表情筋の活性化に良いわけがないのだ。



しかし、ありえないと分かっちゃいるけど、どうしても取り除けない不安はあるものだ。そんなときの解決策としてひとつ、誰かに聞いてもらうというのが良いらしい。

そこで、今回のブログではわたしが昨年末あたりから気づいてしまった不安、「タカアシガニ地上進出の可能性」について聞いてほしいと思う。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


タカアシガニをご存知だろうか。


「タカアシガニ(高脚蟹・学名Macrocheira kaempferi)は、十脚目・短尾下目・クモガニ科に分類される蟹。日本近海の深海に生息する巨大な蟹で、現生の節足動物では世界最大になる。」(出典:Wikipedia)


さて、注目すべきはここである。

「「「現生の節足動物では世界最大になる。」」」

オスが脚を広げると、最大4mにもなるという。手乗りサイズの節足動物、昆虫たちにも阿鼻叫喚する現代人たちが住まう日本。そんなもんに日本近海をうようよされてたまるか。

だいいちに、世界最大とかそういうのは、パプアニューギニアとかアマゾンとか、そのへんによくいるもんじゃないのか。
ショクダイオオコンニャクとか、ヒマンチュラ・チャオプラヤとかニューギニアオオコノハギス(めちゃくちゃでかいバッタで、これがいる限り私はニューギニアに行かないと決めている)とか。
そのへんの地域にまかせておけばよかろう。


タカアシガニは、恥の文化に生きる日本の蟹として、清く正しく慎ましく、海底深くですこやかに生涯をまっとうしてほしいものだ。
唯一、地上に姿を現してよいのは、TOKIOが水揚げしてくれたときのみである。


そんなタカアシガニ、彼らはカブトガニやシーラカンスとおなじく、「生きる化石」の仲間たちらしい。
わたしは恐ろしい可能性に気づいてしまった。

「タカアシガニが陸に上がる可能性」である。

人間だって昔は海に生きる微生物だったというし、陸に生きる生命はみんな海が故郷だという。実際、カニの仲間たちのなかでも、サワガニやシオマネキなんかは水陸両用みたいな生き方をしている。生きる化石、なんて呼ばれるくらい昔から生きてるんなら、そろそろ進化したっておかしくない頃じゃないか。現代人は硬いものを噛まなくなったからどんどん顎が退化してきてるというし、生物の進化スピードを侮ってはならない。



さて、 タカアシガニが陸に上がった世界を考えてみてほしい。

タランチュラやらニシキヘビのような、決して一般ウケはしない生き物でさえ、愛してやまない人が少なからずいる。条約やら飼育規定みたいな難しい色々を乗り越えてでも、彼らをペットとして迎え、共に過ごしたいと熱烈なラブコールを送る人々がいるのだ。
おはようからおやすみまで、タカアシガニと過ごしたいと熱望する人だっているに違いない。

(ちなみにわたしは日本ではじめてタカアシガニを飼いはじめる芸能人は叶姉妹あたりが相場だと思っている。スターの私服、みたいなコーナーで億単位のドレスを纏った叶姉妹が、タカアシガニを連れている絵面を想像してみても何の違和感もない。アメリカならレディー・ガガあたりがコンサートツアーに衣装のひとつとして同行させるだろう。)

タカアシガニが一般にペットとして普及するには時間がかかるだろうから、まずはやはり都市部のセレブたちからであろう。


その頃には、動物愛護団体やなんかも蟹のQOLについて考えはじめ、家に閉じ込めっぱなしは可哀想だ、散歩に連れ出してやれ、みたいな論が持ち上がるであろうことは想像に難くない。

しかし奴らは蟹である。
奴らはハサミを持っているのだ。
飼うひとがまだ少ないうちは、タカアシガニ専用リードなんか市販されておらず、犬の散歩用リードなどを流用する人も多かろう。
そんなもん、あのハサミでちょきんとやられてしまえば終わりだ。

こうなると最期。
……野良タカアシガニの誕生である。

(タカアシガニのはさみというのは、貝やなんかを押しつぶして割って食べられるよう、くるみ割り器的なはたらきをするらしいので現在は切れ味はあれかもしれないが、はさみの進化の可能性もあるとわたしは睨んでいる。)


彼らは野犬のごとく群れをなし、昼は薄暗い排水路やら山林などでおとなしく、息を潜めている。そして夜になると、食べ物を求めて一斉に人間の住む街へ繰り出すに違いない。
野生化したアライグマやヌートリア、迷いルンバやらが観測される現代であるが、野良タカアシガニが群れをなしている恐ろしさったらなかろう。


さて、その頃わたしは、大学を卒業し日々忙しくはたらいていることだろう。

わたしはひとり、家路を急ぐ。
あたりは深夜の静けさに満ち、聞こえる音は自分の靴音のみ。暗い高架下をくぐり、青白い街灯に照らされた道を左折する。

と、目の前に横幅3mはあろうかと思われる巨大な影。野良タカアシガニと鉢合わせてしまった瞬間である………。


この瞬間のわたしの絶望は想像に難くなかろう。しかしこれはわたしの身だけではない、タカアシガニが地上に進出した未来の日本において、誰にでも起こりうる不幸な事故なのである…。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


こんなことを考えながら生活しているもので、表情筋の退化は止まらない。タカアシガニは着々と地上進出へと進化をすすめているというのに、それと反比例してわたしの表情筋は退化してゆく。

わたしと面識がある方はどうか、わたしが死んだ顔をして歩っているのを見かけたら「タカアシガニはまだ地上に来ないよ」と言って励ましてほしい。


少なくとも、2週間ちょっと後の本番までにタカアシガニが地上に進出する可能性はゼロと言ってよいだろう。そのことを支えに、わたしは今日も表情筋の活性化につとめてゆく所存である。



同志社小劇場卒業公演
『あなたがいなかった頃の物語と、
いなくなってからの物語』
脚本 : 三浦直之 演出 : 市毛達也
日程 : 3月9日(金)18:30
10日(土)14:00/18:30
11日(日)14:00
場所 : 同志社大学新町別館小ホール



つぎのブログは、京都の劇団「安住の地」でも活躍されている、にさわまほさんにお願いします。先日の公演、すてきでした!
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